コラム

コラム / 記事

「こんな人たち」ってどんな人たち?

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都議選最終日、安倍首相は秋葉原の街頭で、自らを批判する人たちに向けて、こう叫んだ。    「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかないんです」  安倍政権は、特定秘密保護法や安保法制、「共謀罪」法を強行採決。それでいて、森友・加計学園問題について説明責任を果たそうとしていない。こういった状況で、国民が安倍政権を信頼するわけがない。安倍首相が都議選の応援演説を始めると、「安倍はやめろ」のコールが湧き上がった。そのコールに対して、多様な意見に耳を傾けるべき立場の首相が、「こんな人たち」と表現し、国民を「敵」と「味方」に二分するような発言を行ったのである。国民の怒りの声に対して真摯に耳を傾けようとせず、「こんな人たち」と吐き捨ててきた結果、都議選での自民党大敗、内閣支持率の急落に結びついたのではないだろうか。 ■「こんな人たち」ってどんな人たち? 安倍首相の言う「こんな人たち」とは、一体、どんな人たちなのか? 7月9日、全国各地で「安倍政権に退陣を求める緊急デモ」が開催され、国民による怒りの声が上がった。福岡においても、準備期間が1週間しかなかったにも関わらず、約200人が集まり、「安倍…

コラム / 特集

過去と未来の社会運動

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  1986年生まれの筆者にとって、社会運動というのは、ある特定のイデオロギーを信奉する過激な一部の人たちが行うものと相場が決まっていた。しかし、今回の安保法制をめぐる学生たちの動きを見て、彼らの熱い想いに胸を打たれるとともに、それほど年齢が離れているわけではない彼らが晒されている心理的な不安定さに共感もした。いったい彼らの主張は何なのか、その主張をせざるをえない心理的な動機は何なのか、そのような心理を発生させている社会はどうなっているのか。それを解決するためにはどうすればよいのか。あらゆる疑問が湧き上がってきた。  このコラムでは、アイポスでの特集「若者は政治を変えるのか」の総括として、それから福岡でも運動に参加した学生へのメッセージとして、筆者なりの考えを書いてみたい。社会運動の歴史、現在の日本の状況、これからの社会運動のあり方などについて、運動に参加した学生にとってもその他の読者にとっても何らかの参考になれば大変光栄である。  なお、安保法制に関する一連の運動はさまざまな社会層を巻き込んでいたが、ここでは学生に対象を絞って話を進めていきたい。また、社会の改善や権利の要求など、ある…

コラム / 記事

ある好事家の書評② 山元七平『「空気」の研究』

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「空気」の支配と「抗空気罪」    現在の日本を支配しているのは「空気」である。このように感じる人は少なくないだろう。もちろんこの場合の「空気」というのは、単なる「大気中の気体」というような物理的な意味ではない。「空気を読めよ」というときの「空気」である。学校での友人との会話や職場での会議などにおいて、目には見えないが必ず従わなければならない「何か」に縛り付けられ、自分の本心とはまったく異なることを言わざるを得なかった、という経験は誰にでもあるだろう。   数年前、「KY」(空気が読めない)という造語が流行したが(現在でもしている?)、事実、日本では「空気」が読めないことは一種の罪であり、その罰として陰に陽に社会的な制裁を受けることがある。これにより、日本人は「空気」を読むことに敏感になり、周囲に迎合することが一種の美徳とみなされるようになる。もしそれに抗するような言動をとれば「抗空気罪」として「村八分」という仕打ちを受けることとなる。    では、この「空気」とはいったい何だろうか。なぜ、どのようにしてそのようなものが発生するのだろうか。それは日本社会にしか存在し…

コラム / 記事

言葉の道具箱④~権利の上にねむる者~

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言葉には、私たちの生きる無秩序な世界をきれいに整理してくれたり、ぼんやりと目の前に繰り広げられている現象をくっきりと浮かび上がらせてくれる不思議な力がある。日々生活をしていて何となく気づいていたことが、それを与えられた瞬間、「ずばりそれだよ。私が見ていたものは、まさにそれなんだ!」と急にくっきりと像を結ぶことがある。そのような力である。   本コラム「言葉の道具箱」の第4回目は、「権利の上にねむる者」という言葉を紹介しよう。

コラム

言葉の道具箱③~疎外された労働~

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言葉には、私たちの生きる無秩序な世界をきれいに整理してくれたり、ぼんやりと目の前に繰り広げられている現象をくっきりと浮かび上がらせてくれる不思議な力がある。日々生活をしていて何となく気づいていたことが、それを与えられた瞬間、「ずばりそれだよ。私が見ていたものは、まさにそれなんだ!」と急にくっきりと像を結ぶことがある。そのような力である。   本コラム「言葉の道具箱」の第3回目は、「疎外された労働」という言葉を紹介しよう。     疎外された労働  この概念は、19世紀(あるいは20世紀といってもよいかもしれない)の大哲学者カール・マルクス(1818-1883)が発展させ、後に有名になった概念である。マルクスが26歳のときに書いた未定稿を編纂した『経済学・哲学草稿』の第一草稿で考察されている。    まず、疎外(独:Entfremdung、英:alienation、仏:aliénation)とは、「本質的に自分に所属するはずのものが自分自身から離れ、疎遠なものになること」である。ここで問題となるのは、疎外そのものというよりも、疎外されたものによって逆に人間が…

コラム

ある好事家の書評① 中井久夫「いじめの政治学」

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すべての良書を読むことは、過去の時代の最もすぐれた人々と会話するようなものである。                                                                            (ルネ・デカルト『方法序説』)     私たち一人の人間の見識は極めて狭い。その道のどんな一流の者であろうとも、彼・彼女が知っていることなど、この世の中に存在する事柄のほんのこれっぽっちにすぎない。しかも、私たちは、先人たちと同じような失敗を性懲りもなく繰り返し、後ろを振り返ってみると、自分と同じような過ちを犯している者が多くいることに気づく。なぜ人間はこれほど学ばないのか。なぜ人間は同じ愚挙をこれほどまでに繰り返してしまうのだろうか。   上に掲げた短い題辞が示すように、私たちは謙虚さとひたむきさをもって先人たちに教えを請わなければならない。自分が犯した失敗は、すでに誰かが同じように経験している。自分が着想したことがらは、すでに誰かが同じようなことを考えている。先人たちの諸経験は、良きにつけ悪しきにつけ、私たちが多くを学ぶことができる宝箱のよう…

コラム

言葉の道具箱②~アイロニカルな没入~

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 言葉には、私たちの生きる無秩序な世界をきれいに整理してくれたり、ぼんやりと目の前に繰り広げられている現象をくっきりと浮かび上がらせてくれる不思議な力がある。日々生活をしていて何となく気づいていたことが、それを与えられた瞬間、「ずばりそれだよ。私が見ていたものは、まさにそれなんだ!」と急にくっきりと像を結ぶことがある。そのような力である。 本コラム「言葉の道具箱」の第2回目は、「アイロニカルな没入」という社会学の言葉を紹介しよう。

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言葉の道具箱①~「抑圧の移譲」と「無責任の体系」~

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 言葉には、私たちの生きる無秩序な世界をきれいに整理してくれたり、ぼんやりと目の前に繰り広げられている現象をくっきりと浮かび上がらせてくれる不思議な力がある。日々生活をしていて何となく気づいていたことが、それを与えられた瞬間、「ずばりそれだよ。私が見ていたものは、まさにそれなんだ!」と急にくっきりと像を結ぶことがある。そのような力である。  熟練の大工が、木材を加工するために精度の高いノコギリやノミやカンナを駆使するように、一流の写真家が、被写体を鮮やかにとらえようと多様なレンズを使い分けるように、このコラム「言葉の道具箱」では、読者の方に現実をよりよく認識するための「道具」を獲得する手助けをしたい。そのようなことを目指して、私たちの生活圏で起こる出来事や公的な空間で繰り広げられる政治的・社会的なことがらを把握するための言葉=概念を紹介していこうと思う。  第1回目は、「抑圧の移譲」と「無責任の体系」の二つを説明する。    ⇓次ページはこちら

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国際連盟脱退と今の日本

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安保法制を制定し、憲法を改正して自衛隊を軍隊として世界中で戦闘行為ができるようにしている今の時代を満州事変当時になぞらえる見方があります。 昨年1月、平成天皇が「今年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々,広島,長崎の原爆,東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に,満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び,今後の日本のあり方を考えていくことが,今,極めて大切なことだと思っています。」と述べたのも同じ危機意識に基づいたものと考えられます。 満州事変から第二次世界大戦終結までを描いた船戸与一さんの小説「満州国演義」を読んでいます。 風の払暁 満州国演義一 (新潮文庫) 船戸 与一 いよいよ最終巻「残夢の骸 満州国演義9」に入りました。 インパール作戦の失敗、サイパン島の陥落。 それがどういうことなのか、国民に何を強いることなのかを自分の頭で考えることなく、言われた仕事をきちんとこなすだけの官僚組織。 保身を図る政治家と軍人。その自己保身を隠すために日本中に標語が溢れる。「八紘一宇…

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