1986年生まれの筆者にとって、社会運動というのは、ある特定のイデオロギーを信奉する過激な一部の人たちが行うものと相場が決まっていた。しかし、今回の安保法制をめぐる学生たちの動きを見て、彼らの熱い想いに胸を打たれるとともに、それほど年齢が離れているわけではない彼らが晒されている心理的な不安定さに共感もした。いったい彼らの主張は何なのか、その主張をせざるをえない心理的な動機は何なのか、そのような心理を発生させている社会はどうなっているのか。それを解決するためにはどうすればよいのか。あらゆる疑問が湧き上がってきた。

 このコラムでは、アイポスでの特集「若者は政治を変えるのか」の総括として、それから福岡でも運動に参加した学生へのメッセージとして、筆者なりの考えを書いてみたい。社会運動の歴史、現在の日本の状況、これからの社会運動のあり方などについて、運動に参加した学生にとってもその他の読者にとっても何らかの参考になれば大変光栄である。

 なお、安保法制に関する一連の運動はさまざまな社会層を巻き込んでいたが、ここでは学生に対象を絞って話を進めていきたい。また、社会の改善や権利の要求など、ある主張を掲げて人々が参加する運動は、市民運動、学生運動、政治運動などあらゆる呼称が考えられるが、ここではあらゆる主体や要求を含む総称としての社会運動で統一する。

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浅香 勇貴
1986年生まれ。西南学院大学文学部卒。京都大学文学研究科修士課程修了。 日曜コラムニスト、日曜読書家、日曜大工、日曜社会活動家、通勤電車内思想家、好事家。