FYMの与えた影響とそのルーツ

FYM のメンバーは、すでに就職や大学院への進学など、それぞれの道を歩んでいます。創設メンバーの熊川果穂さんもその一人。今月4月からの就職を控えています。

熊川さんに、FYM の行動が社会にとってどのような意味があったのかを問いかけてみました。

「FYM の活動をどう振り返っているか? 社会を変えることができたのか」

 

熊川さん

「FYM の活動で社会が変わったことはない。安保法制は成立し、自衛隊は南スーダンに派遣さ れている。でも、自分の主張が通用しなかったり、なくなったりしたわけではない。

私たちの活動を通して、少しでも政治に関心を持つ人が増えたことは意味があったと思う。お かしいと思うことに対して声をあげる機会、関心があるのに何をすればいいかわからない人が 集まる場所を作ることが自分にとっての一番の目的だった」

―FYM 主催のデモには、最大で400人を超える人々が参加しました。FYM は、参加者を募る ために SNS を駆使して、情報を拡散。従来の市民運動と一線を画すのは、その呼びかけに応じ て個人の自発的な意思で若者が集まったことです。

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熊川さん

「個人をないがしろにすることが一番だめだと思って活動してきた。傍からみれば、FYM とい う団体になってしまうけど、基本的には個の集まり」

―FYMに参加し、法学部の政治学科に通う崔さんも同じ思いで活動を振り返ります。

崔さん

「FYM は個人の集合体。でも、個々人で動いているから、当然温度差があって、動くとなると 熱心な人が動かすことになって。結局、組織っぽくなるっていうジレンマがあった」

―若者たちが声をあげた背景には、なにがあったのでしょうか。「若者は政治に無関心」といわれる中、 彼女たちが政治に関心を持つきっかけはなんだったのでしょうか

熊川さん

「直接的なきっかけは大学のゼミ。ゼミの田村先生との出会いに影響を受けた。もう一つは、 リベラルな家庭に育ったこと。家庭の中で政治の話をする環境があって、教員である父親に連 れられて長崎の平和学習ツアーに参加したこともあった」

―家庭が原点。意識の差に違いはあるかもしれませんが、崔さんや今年成人した FYM 最年少メン バーの T さんにも共通します。

崔さん

「僕は、日本国籍ですが、名前の通り在日コリアの関係で、政治が身近にあった。父親とも政 治の話をするし、家にも政治関連の本が多く、自然な流れで政治に興味をもつようになった」

T さん

「実家は玄海原発から5キロ。原発の是非について、議論とまではいかないが、日ごろから両 親と話す機会があった。父はどちらかというと賛成。母は反対。特に、福島の原発事故以降、 政治に対して関心を持つようになった」

関心を持つことから行動を起こすまでの一線

 家庭において政治を考える機会があり、多少なりとも関心があった。そんな彼らが、そこか ら安保法制という政治課題に対してどう関心を抱き、行動するに至ったのかでしょうか。実際にデモ行進 など行動するにはエネルギーを要するとともに、ハードルも高いように思えます。にも拘わらず、 彼らはなぜ行動を起こせたのか。彼らの心の中で、どのような変化があったのでしょうか。

熊川さん

「私は、法学部で憲法の授業をとって学んでいたけれど、安保法制の審議が進む中で違和感を 感じていた。最初のころは、同年代で関心を持っている人はいないだろうなと思っていたけ ど、SEALDS が国会前で、多くの人を集めて声をあげているのを見て、福岡でもできるんじゃな いかという気持ちになった。また、市民運動家の人のほとんどが若者を利用しようとする人ば かりだったが、そうではなくて若いからと言って祀り上げるのではなく、今の私たちの声を上 げづらい時代背景を汲んでくれ、知恵を貸してくれる方が少数ながらいた。さらに、一人だけ親代わり と言えるほどお世話になった人がいた。そういった人間関係がデモの実行へと繋がった」

崔さん

 ゼミの活動の一環で、弁護士さんたちと自民党の改憲草案や憲法九条について議論する機会 があり「ちょっとこれはマズいな」と思い、弁護士が主催する学習会に足を運ぶようになった。 自分が知識を得たり、学んだりするだけでは世の中は変わらないと思っていた矢先に、FYM が 立ち上がり、参加するようになった

 結局、僕たちって制度の中で生きているからその自分たちの現状を変えるとしたら、その制度 を考えざるをえない。そうなると当然、面倒くさいけど勉強して行動するしかない。ここで抵 抗しなかったら、そのあと問題が起きたときに、下の世代に顔向けできない。自分自身で納得 したいという気持ちがあった」

T さん

「政府は安保法制について戦争しないために日本がどう対処するべきかを規定した法律だとい う。ただ、日本が戦争に巻き込まれる危険性は確実に増していると思う。政府の動きを見てい るとどんどんブレーキが外れていって、いつか戦争に突入してしまうのではないかという不安 がある。テレビを通して、自分と同年代の若者が声をあげている姿を見た。自分が抱く思い、 言わないよりは言った方がいい。ネットで FYM の存在を知ってコンタクトをとった。活動に歓 迎されたときは、同じような思いを共有する同年代の人が身近にいることがうれしかった」

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アイポス編集部
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