安保法制の成立と未来を見据えて

 

安保法制は、2015年7月15日に衆院平和安全法制特別委員会で採決が行われ、賛成多数 により可決。同年9月19日に参院本会議において可決成立しました。

―崔さんは、ショックは大きかったとしつつも、与党が議会の多数を占める中で急に声をあげ た私たちが短期間で政治を変えるのは難しい。安保法制の成立は覚悟していたといいます。
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崔さん

「運動が広がり、大きなうねりとなったけどそう簡単に政治が動くわけではないと思っている。でも、昨年7月の参院選、与党が圧勝との報道が多かったけど、野党側が頑張ったという印 象が強い。一人区に目を向けてみると現職大臣が落選した福島や沖縄、そういった“酷い目に 合わされてきた”選挙区で軒並み自民党候補が落選しているんですよね。

結局は個人の意思でそれぞれ集まってきた形だから、ある種、その目前の大きな動きが落ち 着いたら、また社会の中に戻る。そして、次また何かあったときは出てくるというイメージ。 団体としてずっと続けていたらそれこそ個人じゃなくなっちゃう。日常生活を送りながら、何か大きな問題が起これば表に出るし、そしてまた日常生活に戻る。その戻った日常生活の中で も周りの人と話しながら、政治を考えていくことができれば一番いい」

Tさん

「安保法制が成立したときは落ち込んだけど、この行動を通して日常の中から声をあげること の難しさや大事さを学んだ。FYMに関わり、行動したことは確実に意味があったと思う。僕 の行動は違和感から始まった。迷いはあったけど、一歩踏み出したことによってFYMの行動 に参加し、新たな人と出会い、意見交換することでより政治の動きがわかるようになった。わ かるようになると、学んでみようという気持ちになる。以前は、ニュースが素通りしていたけ ど、今はいろんなことに反応するようになった」

―行動したことは若者たちに意識の変化をもたらしました。Tさんは当時の活動を振り返り、 多忙ではあったが、同世代の若者と膝を突き合わせて政治の話ができたことに充実感もあった といいます。

新しい風

 若者を取り巻く様々な問題、社会問題、大学の授業料や奨学金の返済の負担、ブラック企業、 ……。社会に対する不満や将来に不安を抱える若者は多い。しかし、その思いが何らかの行動 として表面化するケースはというと、圧倒的に少なくなります。そうした中で若者が起こした アクションは、閉塞感漂う空気を打ち破るような新しい風を吹かせ、世の中に大きな衝撃を与 えるとともに、野党共闘の流れを作るなど様々な影響を及ぼしました。

若者は政治に無関心。これはステレオタイプの考え方ではないだろうでしょうか。確かに10 代~20代の投票率は低い。しかしそれをもってイコール若者は政治に全く関心がないと決め つけることは多くのことを取りこぼしてしまっているように思えてなりません。社会問題や政 治課題を意識し、関心を持つ若者はいるが、それが顕在化せずにくすぶっています。熊川さん たちの行動は、この若者が抱く潜在的な声を拾い上げ、政治や社会に向き合える場所を作りま した。SNSの呼びかけに400人を超える若者が応え、行動を起こしたことは必然だったの かもしれません。
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 彼女たちの行動は大きくメディアで取り上げられました。報道され、活動を知って関心を持 つ人が増えれば、賛同する人も増えるが、同時に反対する人も増えます。関心から行動へ、一 歩踏み出すまでの様々な葛藤。社会が若者の声を受け入れることの限界。さまざまな反応が寄 せられる中、彼女たちは堂々と自分の意見を述べて議論を巻き起こしました。これこそ民主主 義ではないのでしょうか。

 その思いとは裏腹に安保法制は成立、施行されました。FYMは活動に区切りをつけ、声を あげた若者は表舞台からは身を引き、日々の生活に戻りつつあります。しかし、いなくなった わけではありません。日常に戻り、様々な形で政治や社会とかかわりながら生活し、社会と向き合う仲間を増やしていくつもりでいます。何か大きな問題が起きるならば、また彼女たちは 表に出てきて声をあげるでしょう。その道筋はすでに開かれています。

 若者は政治を変えるのか。私たち IPOS も彼女たちと同じように、真剣に社会と 向き合いながら行動し続けていくつもりです。


本記事での発言は、本人の許可と確認を得た上で、インタビューの書き起こしを基にアイポス編集部が発言の主旨を変えないように整理したものです。
基となった3人へのインタビューの原文も公開いたします。彼女達の生の声、紙面の都合上入りきらなかったさまざまな要素が詰まっています。
そちらも合せて是非お読みください。

熊川果穂さんインタビュー全文→http://ipos2016.jp/interview/689
崔春海 さんインタビュー全文→http://ipos2016.jp/knowledge/693
 T   さんインタビュー全文→comming soon!

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アイポス編集部
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