■夫婦「共働き」が約6割?~増加する「共働き世帯」

皆さんは、夫婦関係のあり方としてどのような形を思い浮かべるでしょう。

夫が外へ働きに出て、妻は家庭で家事や育児」という「専業主婦世帯」をイメージする人も多いのではないでしょうか。ところが、近年では「専業主婦世帯」が減少の一途をたどっている一方で、「共働き世帯」が年々増加しています。

先日、友人と話している際、「ウチは共働き。外で仕事して、家に帰ったら家事や育児もするので大変だ。専業主婦世帯が羨ましい」という声を聞きました。あくまでこれは夫側の主張で、妻側からは厳しい批判を受けそうですが…(笑)。しかし、「共働き世帯」が増加傾向にある中で、どうも「望んで共働きを選択したわけではない」という世帯もあるようです。

今回は「共働き世帯」が増加傾向にある要因を探りつつ、「共働き」をめぐる制度のあり方について考えてみます。

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■「共働き世帯」の増加

総務省統計局の「労働力調査」によると「共働き世帯」は2000年以降増加し続けており、2016年時点では、高齢者世帯を除く夫婦の約60%は「共働き世帯」であるようです。逆に「専業主婦世帯」は減少傾向にあり、2000年時点で約40%だったのが2016年時点では約30%程度になっています。

それでは、「共働き世帯」が増加した要因は何なのでしょうか。

一つの要因として、以前と比べて出産や育児を支援する制度の整備など社会的に女性が働きやすくなってきたということが挙げられるかもしれません。しかし、実際は日本における女性の社会進出は世界各国と比較しても低水準で、出産後の職場復帰の困難さや女性管理職登用の少なさなど、まだまだ真に女性が働きやすい社会になっているとは言えないでしょう。

もう一つの要因として挙げられるのは、雇用の不安定化や所得の減少への対応策として「共働き」が選択されるようになったということです。この不自由さの根本には、経済成長の鈍化による低所得や失業、貧困があります。要は、「協力して働かないと家計を支えられない」という不自由な選択として「共働き世帯」が増えてきているのです。

■余裕のない「共働き世帯」

「共働き世帯」が増加してきた主な要因として「女性の社会進出」、そして「雇用の不安定化や所得の減少への対応策」という2つを挙げました。問題なのは、不自由な選択として「共働き」にならざるを得ない状況があるということでしょう。

また、「共働き」をする上で切り離せないのが「家事」と「育児」の問題です。「専業主婦世帯」では女性が家庭の中の切り盛りをしてくれていたのが、「共働き世帯」では夫婦ともに日中は仕事をこなし、帰ってきてから家事・育児を分担して取り組まなければなりません。

こうしてみると、働かなければ食べていけないので夫婦で働き、日々の余暇は家事や育児に追われるという状況。生活に余裕があるとは言えないでしょう。

「共働き世帯」に余裕をもたらすには、男女ともに安定した雇用をいかにもたらしていくか、そして家事や育児の負担をいかに減らしていくかを社会全体で考えていく必要があります。

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 ■選択の幅を広げる制度設計

近代以前に比べ現代は夫婦が自由に仕事や家庭のアレコレを選べるようになった結果が「共働き世帯」の増加かと思えば、実際はそうではない様子です。

ところで、北欧では「共働き世帯」が8割ともいわれています。

北欧の国々は、男女の就労支援や出産・育児、介護を「社会全体で支える」という福祉国家です。福祉国家では、男女ともに安定した雇用を供給して経済的基盤を整え、豊富な公的資金を国民の仕事や家庭の負担を減らす方向に使っています。

こうした北欧型の福祉国家の政策や制度から日本も学ぶことが多いでしょう。しかし、気を付けなければならないのは、「共働き世帯」を優遇する制度設計は逆に自由な選択を阻害する可能性もあるということです。

 夫が外へ働きに出て、妻は家庭で家事や育児をしなければならないというイメージに縛られた社会が息苦しいことは間違いないですが、夫婦が共働きで家事・育児を分担してやらなければいけないという縛りも同じくらい息苦しいものです。「専業主婦世帯」を望む人もいれば、「単身世帯」を望む人もいます。それだけでなく、事実婚や同性カップルなど様々な生き方を望む人もいます。

一つのライフスタイルを優遇するような制度設計では、その他の生き方を望む人々に同じライフスタイルを強要することに繋がりかねません。
多くの人が幸せだと感じられる社会にするには、選択の幅を広げるような制度設計が必要です。
ある一つの「家族の形」を優遇する必要はなく、「家族がなくても生活できる」制度の下で幸せになる一つの手段として家族の形成を選択できるような新しい社会の姿を考えていかなければなりません。

アイポス編集部
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