日本の選挙制度とわたしたち

選挙は、投票を通じて私たちの代表者を選び私たちの意見を政治に反映させるためのシステムです。憲法は「個人の尊厳」を最大の価値とし、権力者の横暴から「個人の尊厳」を守るために権力者を縛るものです。その権力者を縛る仕組みの一つが選挙です。選挙を通じて私たちの権利を実現する政治家を選び、私たちの権利を阻害する政治家を落選させる、私たちの選んだ代表者に議論させ意見を調整することによって権力者の専横を防ごうとしているのです。
しかし、今の日本の選挙制度は小選挙区制を基本としており、国民の意見が正確に政治に反映されているとは言えないのが実情です。小選挙区制とは一つの選挙区から議員1人だけを選出するというものです。1票でも多ければそれが全体に意見になるというものです。実際に日本の選挙では、全有権者の25パーセントの票を得ていないのにもかかわらず60パーセントを超える議席を得るということが起こっています。
また、20代と60代の投票率を見ると、60代はおよそ7-8割が投票に行くのに、20代は3-4割しか投票に行っていません。そればかりか、そもそも60代に比べて20代の人口は少なく、人口も少ない上に投票にもいかないのでは、政治家にとって20代の意見は恐ろしい存在ではなく、20代の意見が国政に反映されにくくなっています。そのため、非正規雇用の蔓延や学費の高騰、奨学金の負担など若者にとっては生活しにくい政治になっています。この現状を見て、どうせ選挙に行ったってなにも変わらないと感じた方もいるでしょう。でも、みなさんが投票に行かなければ、政治家にとってあなた方若者のことは無視しても大勢に影響しない存在ととられることになってしまっています。

今、なにが変わろうとしているのか

日本も海外に自衛隊を派遣して戦争に加担できるようにすべきだとの議論もあります。ここで重要なのは実際に戦場に送られるのはこの議論に熱心な政治家やオヤジ世代ではなく、政治に関心が薄いと思われている10代20代の若者たちです。選挙に行くこともないまま、つまり戦場に送られることについてYesもNoも意思表示をしないまま戦場に送られることとなる世代です。
昨年9月、安全保障法が成立し日本の安全保障体制は大きく転換しました。そして、今、政権与党は憲法を改正しようとしています。憲法改正によってこの国は名実ともに堂々と海外で戦争をすることができるようになります。
安倍総理は在任中に憲法を改正すると明言しています。それを実現しようとするならば、来年の通常国会で衆参両議院の3分の2の多数で憲法改正案を成立させ、来年冬頃には国民投票を行うことが必要です。そして、来年冬もしくは再来年には憲法が改正されることとなります。
憲法改正によって戦争に対する歯止めは取り払われます。
東京オリンピックが開催される2020年までは国際世論もあり戦争をすることはできないかもしれませんが、オリンピック後には日本の国防軍(憲法改正によって自衛隊は国防軍へと改編されます)が、海外で戦争をする可能性があります。
今の中学校2年生たちが5年後には海外で戦わされ戦死する可能性があるということです。しかも、この年齢の少年達がその間に選挙に行く機会はなく、戦争することに対し投票を通じた意思表示ができないままに、戦死させられるということです。
だったら、意思表示ができない彼らに代わって私たち大人がきちんと意思表示をするべきです。それが社会を担う大人の責任です。
18歳19歳のみなさんには選挙権が与えられましたが、それは自分の人生を決める大事な決断の機会であるのと同時に、将来世代の運命も左右する大きな責任が求められるものでもあります。
若い世代のみなさんは数は少なくても社会を変える大きなエネルギーがあります。そのエネルギーを最大限に発揮する場が選挙です。
投票を棄権することは決してNoの意思表示を示したことにはなりません。棄権することは多数派を追認するだけの意味しかありません。
18歳19歳のみなさんは、そして20代のみなさん、大事な投票の機会を無駄にしないでください。
そして、みなさんの間で政治をタブーにせずに、友達同士や家族の間で堂々と政治の話をしてください。
後藤とみかず
1968年生まれ、47歳。 福岡大学法学部卒、2002年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。