国会議員としての活動

 ただ一人の無党派議員であるサンダースが議会で果たしうる大きい役割の一つが、民主党、共和党の議員がわけあって扱わないようにしている課題を取り上げることである。彼は、多くの法案や修正案を提出し、大統領に働きかけ、あるいは共和党の穏健派や民主党に働きかけ、左右連携を作り出して、働く人々や弱者のための数々の法律を成立させている。以下にその一部を紹介する。

・最低賃金に関する法律の私案を提出。50人の進歩的民主党議員が共同提案者になったが、共和党議員たちは、最低賃金の引き上げは雇用の減少を持たらすと反対した。世論調査の80%以上が最賃引き上げに賛意をしめしていた。クリントン大統領は、大統領選が近づき、これが良い政治的争点であることを認識し、力を入れて取り組んだ。法案は354対72で可決した。興味深いことに、160人の共和党議員が、結局、賛成した。

・国防業者・マーテイン・マリエッタ社がロッキード社と合併して、ロッキード・マーテイン社(軍需産業の32%を占める)になった時、1万7000人の人員削減があった。新しい合併企業の経営幹部は、自分たちに9100万ドルの賞与を支給することを決めた。そのお金の3分の1にあたる3100万ドルをペンタゴンから「組織再編費用」として払われるという事を発見した。サンダースはペンタゴンがこの賞与を払えないようにする修正案をだした。国民の批判を恐れた二大政党から支持されて修正案は可決された。

・サンダースが呼びかけて結成し、議長を務める進歩的議員団では「もう一つの予算案」を発表している。内容は「議会の予算配分の優先順位を変えれば、手ごろな住宅、地域と都市の開発、医療、教育、低中所得者の一般的ニーズの予算がどんなに増やせるかを示す。議会の予算配分は優先順位が道徳的に破たんしていることを、単純かつ有効な方法で暴く」というもの。

 

おわりに

 アメリカの格差社会は決して他人ごとではない。かって一億総中流と言われた日本も、アメリカに続いて貧困格差が急ピッチで進んでいる。先日、国税庁が発表した2015年分の民間給与実態調査によると、年収が200万円以下のワーキングプアーは1130万人になり、3年連続で1100万人を超えている。子どもの6人に1人が貧困状態にあるとされ、大人の貧困が子どもの貧困を生んでいる。

 野村総合研究所のデータによれは、2013年現在、純金融資産保有額が1億円以上の富裕層は100万7千世帯(全世帯の1.9%)で241兆円(全体の19%)を保有している。2000年と比較すると富裕層は17万2千世帯増え、保有資産は70兆円増えている。一方、金融資産額が3000万円未満のマス層、4182万7千世帯(79.7%)の保有資産は539兆円(42%)。2000年と比較すると、この層は422万世帯増え、全保有資産は36兆円しか増えていない。なお、マス層に分類された世帯の下層部分では、預貯金ゼロ世帯が増え続けており、30代、40代世帯では3割、ひとり暮らし世帯では4割に達している。

 バーニー・サンダースのメッセージ:

 “もしこの国の80%から90%の人が投票するならば、もし彼らが問題は何なのかを理解するならば、議会は、大企業と金持ちの支配する、彼らが扱ってほしい問題だけを扱う今の議会とは、大きく、大きく違ったものになるでしょう。”

Bernie Sanders

By United States Congress (http://sanders.senate.gov/) [Public domain], via Wikimedia Commons

付録 サンダース動画紹介

アイポス編集部より、YOUTUBEで見ることのできるバーニーサンダースの動画を以下にいくつか紹介しています。ぜひご覧ください。

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酒井 嘉子
九州大学名誉教授