日本を侵攻するようなことをすると中国の政権がもたない

 

 ご存じだと思いますが、今アメリカは中国と蜜月です。これはオバマさんの言葉です。「アメリカは中国が平和で安定的に台頭し、世界で責任ある役割を果たすことを歓迎する」と言っています。さっき言いましたように、安倍さんがあれだけ苦労して安保法を通して、ほめてもらおうとしてアメリカに行ったのに、オバマさんは会わずに習近平さんと会っていたのです。今アメリカがどっちを大事に思っているかというのはすぐに分かりますね

 今アメリカと中国は一緒に軍事演習をしています。自衛隊と米軍が軍事演習をするというのはよく聞きますね。でも中国軍とアメリカ軍が一緒に軍事演習をしている。敵同士だとそういうことしますか。米中間で戦争を起こそうとしても、起こしようがないわけです。まして今中国を怒らせて一番困るのはアメリカですよ。中国がよそを向いたら、潰れるのはアメリカですからね。

 ここまで見てきて、「中国脅威論」というのは、中国の脅威ということではなくて、日本の国際社会での地位が落ちてきている、そのことを認めたくないバブル世代の人たちが、かつての日本の栄光のまま中国を見ていることの反映だと、結論付けることができます。

 そしてもうひとつ、世界的な視野でみると、中国が日本に攻めてくるということはありえない。むしろ日本が仕掛けているんです。尖閣の問題など、本来問題にしなくていいことを殊更に煽っている。

 今回調べていて見つけたのですが「またも負けたか八連隊」という言葉あります。戦争中に流行った言葉です。八連隊というのは大阪の連隊です。すぐ逃げるということで、弱かったと馬鹿にした言葉です。逆に強かったのは、久留米とか、九州の連隊だと。強いということは、逃げない、それだけ犠牲になるということですからね。多くの犠牲者を出しているのが九州の連隊です。この言葉が何を意味ているかというと、八連隊は大阪、つまり商人の町なんです。商人は本来鉄砲を持って戦う人ではないということを言っているのです。

これはそのまま中国に当てはまると思います。中国の歴史を見てください。あの国が軍事力で他国に何かを要求したり、侵略したことがあったか。おそらく「元(モンゴル)」のあの時だけではないか。つまりあの国は、軍事力ではなくて、商売で世界を相手にしてきた国ではなかったか。外国旅行に行くとわかるんですが、そろそろ和食が食べたくなったと思ってもなかなか見つからない。ところが世界のどんな小さな町に行っても、中華料理屋さんはあります。大きな町に行けばだいたい中華街があります。どれだけ中国人が商売上手かということです。つまり中国はもともと商売の国で、戦争をするという国ではないのです。

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「国家の富強と家庭の幸福の為にあなたも計画生育を実行してください」と書かれた看板

それから中国は基本として一人っ子政策です。中国の人たちが子どもを大切にするというのはご存知ですね。まして一人っ子でしょう。王子様ですよ。その一族の大切な一人っ子を兵隊に取られる、戦に駆り出されるということになった時、中国は政権を維持できるか。できないと思います。不満が一気に爆発するでしょう。

ご存知の通り、中国は共産党の一党独裁です。市民の表現の自由が多少制限されているとか、内部にいろんな矛盾を抱えながら、政権が維持されているというのは、おそらく商売がうまくいっているからだと思います。そんな微妙なバランスで成り立っている中、リスクを冒してまで中国政府が戦争をするでしょうか。日本と違って、中国の指導者というのは、めちゃくちゃ頭がいいですからね。民主主義は時として安倍さんや麻生さんを生み出します。でも中国で代表になるのは、ものすごい競争を勝ち抜いてきたエリート中のエリートです。その人たちが、一人っ子を兵隊に取って、一人っ子を犠牲にするような政策をとって自らの首を絞めるか。するわけがないでしょう。中国が今後侵略をしてまで何かをするという下地はないのです。

よく中国の夢、China Dreamと言いますが、中国の夢というのは何だろうかと考えます。先ほど言ったように中国は面子の国です。例えば中国の人と食事に行った時に、割り勘にしようとしたらすごくムッとされます。おごるのが当たり前。それで「ありがとうございました」とお礼を言います。日本の感覚だと、お世話になったからと言ってお返しを持っていきます。これも中国の人の面子をつぶします。中国の人は怒ります。こちらの感覚では、あの時の恩を返すということで義理堅い人だなということになるのですが、中国の人は「俺との縁を切りたいのか」となるわけです。こうまでして貸し借りなしにしたいのかということになるのです。面子です。あの国は面子をつぶされるというのが一番嫌なんです。今の指導者たちは何を考えているかというと、尊敬されたいのです。かつてアジアの国々から尊敬されていた、あの中国を取り戻したい、これが中国の夢なのです。あの時代というのは、まさに乾隆帝の時代ですよ。一番栄華を極めた、乾隆帝の時代を取り戻したいというのが、中国の夢です。

中国は日本にとって本当に脅威なのか~日中関係と安保法制を考える~①
中国は日本にとって本当に脅威なのか~日中関係と安保法制を考える~②
中国は日本にとって本当に脅威なのか~日中関係と安保法制を考える~③
中国は日本にとって本当に脅威なのか~日中関係と安保法制を考える~④
中国は日本にとって本当に脅威なのか~日中関係と安保法制を考える~⑥→12月24日更新

後藤とみかず
1968年生まれ、47歳。 福岡大学法学部卒、2002年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。