同じ東アジアに位置し、歴史的文化的にもさまざまな形で密接に関わってきた日本と中国。経済においても、日中貿易総額は2699億ドル(日米貿易総額は1924億ドル)と、中国は日本にとって最大の貿易相手国である。しかし、そのような背景とは裏腹に、報道では日本と中国の対立が多く報じられ、また中国の脅威を煽るような内容のコンテンツもインターネットにあふれ、日本人の多くが中国に対して(あるいは中国人に対して)悪いイメージを持っているように感じる。昨年12月には、そうした「中国脅威論」の氾濫に疑問を呈する後藤とみかず氏に特集として連載記事をいただいた。今回は、その締めくくりとして日中友好協会の福岡支部長として日ごろから日中の交流に努めていらっしゃる氏にその体験と思いを伺った。


後藤とみかず:1968年生まれ、47歳。 福岡大学法学部卒、2002年弁護士登録。福岡県弁護士会所属6EI2o1Xk_400x400

中国は日本にとって本当に脅威なのか~日中関係と安保法制を考える~① 

Q、まずは中国と言う国に興味を持ったきっかけを教えてください。

A、自分の世代は子どもの頃に日中国交正常化の時期を過ごしています。テレビでは国交正常化を記念した西遊記のドラマ、「パンダ外交」などもその時期にあっており、当時の世論では中国に対して好感を持つ人が多かったです。あとは、三国志など。なので、世間にあるような中国への抵抗感が薄かったのかもしれません。しかし、一番大きかったのは、弁護士になってから取り組んだ中国人強制連行・強制労働事件。母方の祖父が、戦後朝鮮人の強制労働で問題になった麻生炭鉱に勤めていたという経緯もあり、そういったところに自分のルーツがあります。

 

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日本テレビ開局40年記念ドラマ『西遊記』1978~1980

 

Qいわゆる「嫌中国」のような批判に対してどのように感じていますか?

A、中国人と接していて、いらっとしたりすることもあるかもしれません。しかし、もしそれを米国人や英国人がしていても同じような感情を抱くでしょうか。「異文化」として受け取るのではないでしょうか。それが、中国人相手になると途端に許容できないくなってしまう。日本と中国が同じアジアにあり、近いがゆえに差異が目についてしまうのかもしれません。また、日本と中国の感覚の違いは「時代」によるものもあると感じています。

 

Q、「時代」とはどういうことでしょうか

A、発展段階のことです。中国は今まさに経済成長のただ中にあり、世界中のどの都市にいっても元気があるのは中国人です。よくよく考えると、80年代バブル期の日本もそうでした。今でこそ「爆買い」という言葉がありますが、当時日本の女子大生がシャネルやルイヴィトンなどを現地で買い占めるようなことがあっていました。農協などの団体旅行があり、繁農期を終えた農家の人たちが慰安旅行として海外に大挙していっていました。欧米からの批判はされていましたが、当時の日本人はそれを負け惜しみを言っているとしか捉えていませんでした。今の中国はかつての日本が通ってきた道であり、また、いずれ中国も日本のように落ち着いていくだろうと思っています。

 

Q、自分たちのしてきたことを忘れて、中国の現状を批判するようなことはよくありませんね。後藤さんは日中友好協会の支部長をされていらっしゃいますが、支部長としての取り組みはどういったことがあるのでしょうか

A、いろいろなことをしています。福岡は中国と密接な関係のある街です。中国に対する誤解を解くための学習会を開いたりもしています。また、残留孤児の帰国者の方が福岡は多い。日本語を忘れてしまっている人も多いです。そのような方たちが、普通に生活していけるような環境を整備するために行政に働きかけをしています。また、一緒にイベントに参加してギョーザを作って販売したり等の交流の企画も行っています。また、たびたび中国の総領事を訪ねてお話をしたりすることもあります。

 

Q、そのような活動をされていたり、個人的な交友も多い後藤さんからみた中国人とはどのようなイメージでしょうか

A、中国に行った時に、子連れで地下鉄にのったら、周囲の人たちの席の譲り合い合戦が始まったのは印象的です。


Q、一般的にある、利己的なイメージと違うように思いますが。

A、子どもを大事にする文化なのだろうと感じます。自分たちの土地や肉親の命を奪った日本人の子であるはずの「小日本鬼子」なのに、その子達をしっかりと育てたのだから。一人っ子政策も影響しているのかもしれません。漢民族の子達と接していると、大切に育てられてきたのだなと分かります。また、留学生と接していて思うのは、みんな頑張り屋さんだということです。あのエネルギーは今の日本にはないかもしれない。街には活気があり、料理もおいしい。あと、中国の方の“おもてなし”の心には圧倒されます。

Q,圧倒される、とは

A、日本のような細やかな心遣いとは違うものです。「料理をとことん食べてもらおう」という思いが感じられますね。日本人の「出されたものはちゃんと食べましょう」という感覚で残さずご飯を食べようとしていると、足りなかったのかと思われて、次から次に料理を取り分けてくれます。お茶なども、少しでも減っていると、なみなみと注いでくれるので、しっかりと「もういりません」と意思表示をしなければいけません。飯食ったか?が挨拶になる国だけはありますね。

「中国という隣人を身近に感じよう(後編)」
マスコミの問題、日中間の問題に対する中国人の意識、共産党支配についてさらに伺っていきます

アイポス編集部
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