「特別の教科 道徳」

道徳は、1958年に教科外活動の一つとして特設され、来年(2018年)に60年の節目を迎えます。その節目となる2018年度、いよいよ小学校で、道徳は「特別の教科」として教えられることになります。さらに、中学校でも、翌2019年度に教科化されます。

「道徳」が「特別の教科」になると “教科書”“評価” が導入されることになります。

*「特別の教科 道徳」は、他の教科のような5段階などの評価ではなく、記述式の評価が行われます。入試に評価は利用されず、調査書にも評価は記載されません。また、「道徳科」を教えるのは、免許を持つ専門の教員ではなく、これまで通り学級担任の教員になります。このように他の教科とは異なる枠組みの教科であるため、「特別の」がつく教科となっています。

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全国の小中学校では、道徳の教科化に向けて着々と準備が進められています。
しかし、そんな中、先日、とある学校で教員として勤めている友人が

「道徳の教科化…こんな忙しいのに教科が増えるなんて…」
と、ポツりと呟きました。

多忙なイメージがある教員、勤務実態はどのようになっているのでしょうか。また、教員は、道徳の教科化についてどう捉えているのでしょう。

■教員の勤務実態

北海道教育大や愛知教育大、東京学芸大、大阪教育大が共同で実施した「HATOプロジェクト」の調査(2015年)<出典:https://goo.gl/gDqJup>によると、教員の勤務実態について

<平日(授業がある日)に学校で仕事をする時間>

〇小学校 平均11時間8分
〇中学校 平均11時間32分

<平日(授業がある日)に家で仕事(授業の準備など)をする時間>

〇小学校 平均54分
〇中学校 平均42分

つまり、小・中学校の教員は、平日、家で仕事をする時間も合わせると平均12時間以上も働いていることになります。また、平日の睡眠時間について

<平日(授業がある日)の睡眠時間>

〇小学校 平均5時間47分
〇中学校 平均5時間45分

小学校、中学校の教員ともに平均睡眠時間は5時間台となっています。
これだけでも、小・中学校の教員が過酷な環境で仕事をしていることが分かりますが、更に休日における出勤や家での授業準備などで仕事に追われているようです。

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「仕事に追われて生活のゆとりがない」と答えた教員は、小学校で76.6%、中学校で75.3%。更に、「授業の準備をする時間が足りない」と感じている教員は、小学校で94.5%、中学校で84.4%に上ります。

「HATOプロジェクト」の調査では、教員という職業にやりがいを感じる一方で、責任や仕事量が教員にとって大きな負担になっていることが分かります。道徳を教科化して教員の負担を増やす前に労働環境の改善など、政府が早期に実施すべきことは山積みな気がしますが…それでは、教員は、「道徳の教科化」についてどのように捉えているのでしょうか。
 

■道徳の教科化

道徳の教科化について、小・中学校教員の回答は、
 

〇小学校 否定的な回答が 78.9%
    (「反対」40.2%、「どちらかと言えば反対」38.7%)

     肯定的な回答が 18.8%
    (「賛成」3%、「どちらかと言えば賛成」15.8%)

     *そのほか、「内容が分からない」、「無回答・不明」が2.3%

〇中学校 否定的な回答が 75.9%
    (「反対」37.3%、「どちらかと言えば反対」38.6%)

     肯定的な回答が 21.3%
    (「賛成」4.6%、「どちらかと言えば賛成」16.7%)

     *そのほか、「内容が分からない」、「無回答・不明」が2.9%

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小・中学校教員ともに約80%が否定的な道徳の教科化ですが、では、どこに問題点があるのでしょうか。そもそも、道徳を教科化する必要はあるのでしょうか。

次回「特別の教科 道徳」(後編)では、「特別の教科 道徳」の問題点について考えてみます。
アイポス編集部
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