<アベノミクス>

私たちにとって一番の関心事項ともいえる経済。安倍首相は、第二次安倍内閣の経済政策として「アベノミクス」を打ち出し、2014年12月には「アベノミクス解散」と称して衆議院を解散しました。結果的に、与党は衆院3分の2議席を超える325議席を獲得。安倍首相は、今回の解散に当たって「アベノミクス」の成果を以下のように強調し、総選挙において「アベノミクス」の継続の是非を問う考えです。

・アベノミクス「3本の矢」を放つことで、日本経済の停滞を打破し、マイナスからプラス成長へと大きく転換することができました。

・今、日本経済は11年ぶりとなる、6四半期連続のプラス成長。内需主導の力強い経済成長が実現し ています。雇用は200万人近く増加し、この春、大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高です。

しかし、日本世論調査会が9月23日~24日に実施した世論調査では、「アベノミクス」に期待しない人が56%に上り、期待するとした41%を上回るなど評価されているとは言い難いのが現状です。安倍首相の言葉を真に受けると日本の経済は順調に成長を続け、私たちの暮らしも豊かになっているような気がします。しかし、実生活において景気回復の実感は得られているでしょうか。

 ■アベノミクス「3本の矢」とは

安倍首相はアベノミクス「三本の矢」を放つことで、「デフレからの脱却」と「富の拡大」を目指すとしています。「三本の矢」とは、①日本銀行が進める 「大胆な金融緩和」、②「機動的な財政出動」、③「民間投資を喚起する成長戦略」-のことです。

安倍首相はこの「三本の矢」を実現していくことで、金融緩和により円安および株高が進む→大企業中心に利益が上がる→企業の業績改善→雇用の拡大&所得アップ→個人消費の回復→企業業績がさらに上向きに-といったシナリオを描いています。

■強調されるアベノミクスの成果とその実態

多くの働き手が雇用環境や賃金は何ら変わっていないと嘆いています。「アベノミクス」により、確かに輸出大企業などは円安で空前の利益を上げています。安倍首相が言うように、この点ではプラスの成長があったといえるでしょう。しかし、「アベノミクス」が庶民の暮らしにもたらしたの は、①実質賃金の低下、②労働分配率の低下、③非正規雇用の増加など雇用の二極化です。私たちに景気回復の実感がないのは当然です。

大企業の上げた利益は、2012年度から16年度にかけて1・5倍近く増加し、過去最大となりました。一方、16年度の大企業の「内部留保」は406兆円と過去最高額を更新。大企業が儲けても、利益をどれだけ人件費に配分したのかを示す労働分配率は下がり続け、賃金上昇から物価上昇を差し引いた実質賃金も安倍政権が発足してから過去最低を記録しています。企業がため込むばかりで人件費には還元されず、一般会社員の賃金は一部の超大手企業を除けば減少しています。IPOS abeno

 ■広がる格差社会と「アベノミクス」への疑問


“10億ドル以上の 資産保有者である“世界のビリオネア”は、安倍政権が発足する前の2012年と16年を比べ日本在住者は1・5倍の33人、資産総額は684億ドル(7兆5240億円)から1145億ドル(12兆5950億円)へと膨らんでいます。人数・金額ともに過去最高です。”(米誌「フォーブス」)

富裕層や外国人投資家など富める者が富む一方、格差は広がり 、貧困問題は深刻さを増しています。非正規雇用の増加も大きな問題です。安倍首相は「雇用は200万人近く増加」などと「アベノミクス」の成果を強調していますが、その実態をみると疑問です。第二次安倍政権発足前の2012年と16年を比較すると、正規雇用は12万人の増加にとどまる一方、非正規雇用は211万人も増えています。

大企業の利益を優先させてその儲けを働き手の賃金アップにつなげていく。果たして、富のしずくは庶民に滴り落ちてくるのでしょうか。

-私たちの暮らしに直結する経済。国民目線の経済政策に転換するのかどうかが問われています-


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アイポス編集部
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