<教育無償化>

自民党は、10月2日に発表した選挙公約の中で、消費増税の増収分を幼児教育・保育の無償化に充てることを明記しました。公約では、2020年度までに3~5歳の幼児教育の全面無償化、低所得世帯を対象にした0~2歳児保育と高等教育の無償化を実現するとした上で、今年の年末までに2兆円規模の具体策をまとめることを掲げました。

内閣府の試算によると、
3~5歳児の幼児教育・保育の無償化には、約7,300億円
0~2歳児の幼児教育・保育の無償化(世帯収入680万円以下)には、約2,300億円
合計で、約9,600億円必要であるとされます。

つまり、幼児教育・保育の無償化に2兆円のうち、約1兆円が投入されることになります。
2兆円の残りの部分については、大学などの高等教育の無償化などに充当される方針だと言います。

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なんとなく、「無償化」と言われると、「タダになるのなら、良い話じゃないの?」と思ってしまいますが、実際のところ、どうなのでしょう。

まず、保育料の現状について見てみましょう。

厚生労働省によると、1世帯の児童ひとりあたり月額保育料の平均は約2万円となっています。

保育料は、世帯収入に応じて定められており、生活保護世帯は無料で保育園に通うことができます。また、年収300万円以下の世帯は、月1万円以下で通うことができます。

つまり、すでに現行の制度で、経済能力に応じて保育料が定められていて(*ただし、保育料は国の基準に従って各自治体が金額を設定しているので、どこに住んでいるかで保育料に差が出ます)、なるべく均等な経済負担で保育教育を受けることができるようになっています。
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ところで、待機児童は現在、どれほどいるのでしょうか。
2017年の待機児童数は、2万6081人います。
政府の元々の目標であった2017年度末の「待機児童ゼロ」は達成できていないだけか、3年連続で増加しているのが現状なのです。

もちろん、「幼児教育・保育の無償化」という志自体は否定されるべきものではありません。
しかし、無償化によってニーズが拡大し、保育園や幼稚園、そこで働く職員の確保が間に合わないという未来が先に待っていることは明白です。

優先順位として、まずは、待機児童の解消のために保育サービスインフラを掲げるべきではないしょうか。

それと、「幼児教育・保育の無償化」がこれまで実現されていないかというと、
憲法26条に、「義務教育はこれを無償とする」とありますが、保育園や幼稚園、高校、大学などは義務教育ではないので、無償にする義務が国になかったからです。

今回、自民党は公約に憲法改正して「教育無償化」を盛り込むことを掲げていますが、「無償化」という耳障りのいいワードが憲法改正の大義名分になってはいないでしょうか。

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アイポス編集部
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