中井久夫

コラム

ある好事家の書評① 中井久夫「いじめの政治学」

klementinum

すべての良書を読むことは、過去の時代の最もすぐれた人々と会話するようなものである。                                                                            (ルネ・デカルト『方法序説』)     私たち一人の人間の見識は極めて狭い。その道のどんな一流の者であろうとも、彼・彼女が知っていることなど、この世の中に存在する事柄のほんのこれっぽっちにすぎない。しかも、私たちは、先人たちと同じような失敗を性懲りもなく繰り返し、後ろを振り返ってみると、自分と同じような過ちを犯している者が多くいることに気づく。なぜ人間はこれほど学ばないのか。なぜ人間は同じ愚挙をこれほどまでに繰り返してしまうのだろうか。   上に掲げた短い題辞が示すように、私たちは謙虚さとひたむきさをもって先人たちに教えを請わなければならない。自分が犯した失敗は、すでに誰かが同じように経験している。自分が着想したことがらは、すでに誰かが同じようなことを考えている。先人たちの諸経験は、良きにつけ悪しきにつけ、私たちが多くを学ぶことができる宝箱のよう…

Twitter

Facebook

LINE@

友だち追加数